【視覚障害者とファッションの未来】 「サイトワールド2025」に登壇

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サイトワールド登壇のご報告

2025年10月、第17回サイトワールドに登壇し
「視覚障害者とファッションの未来」というテーマお話ししました。

視覚障害のある方のファッションについて、
日々の活動の中で感じていることや、
これからの可能性についてお話しする機会となりました。


視覚障害者の服選びにある現状

これまでの活動を通して感じているのは、
装いを楽しみたいという想いがある一方で、他人に頼わざるを得ないため、自主的に服を選ぶことが難しいと感じている方が多いという現状です。

選ぶための情報や基準、環境が十分に整っていないことが、一つの課題なのではないかと感じています。

現在は、アプリなどの開発により、色や柄といった情報に触れる機会は増えてきました。

ただその一方で、「どう組み合わせるか」「どんな印象になるのか」といった判断の部分の主観的情報については、情報が得にくく、他人の主観に頼らざるを得ないのが現状です。

しかしこれは、視覚障害のある方に限ったことではなく、青眼者の中にも、服選びに迷いや難しさを感じている方は多く、視覚情報の制限だけが問題とは言い難いところが興味深いところでもあります。

情報があるかどうかというよりも、「どう選ぶか」という基準があるかどうかが、大きく影響しているのではないかと感じています。


登壇でお伝えしたこと

今回の登壇では、こうした状況に対して、
2つの視点からお話ししました。

ファッション教育の導入(個人のスキル)

視覚に頼らず服を選ぶためには、感覚だけではなく、判断の基準となる知識がとても大切になります。

・素材や形を触って理解すること
・言葉でシルエットや印象を捉えること
・組み合わせの考え方を知ること

こうしたことを少しずつ積み重ねていくことで、自分で選ぶ力が育っていきます。

そうすることで、TPOに合わせたおしゃれをを楽しむことが誰でもできるようになります。


店舗や社会の受け入れ体制

もう一つは、環境の側のあり方です。

例えば店舗で、

・色やデザインを言葉で丁寧に伝えること
・選択肢を分かりやすく整理すること
・ご本人の意思を尊重する関わり方をすること

こうした対応が自然に行われることで、より安心して服を選べる環境につながっていくと感じています。


当事者の声と変化

第2部では「当事者のリアルな声」ということで、ファッションサポートを受けられた平野 恵さんにも登壇していただきました。

視覚障害当事者の立場から、幼少期からのファッションとの関わり、ファッションスキルをつけたことによる変化、そして今後についてお話をしていただきました。

また、平野さんの他にも実際にサポートを受けられた方の変化についてもご紹介しました。

これまで選択の幅が限られていた方が、
「この色を着てみたい」とご自身の意思で選ばれるようになる。

人に任せていた服選びを、
「これがいい」とご自身で決められるようになる。

今までは無難な服を選ぶことで安心を優先していたが、
「今日は何を着て行こう」と、服を選ぶことが楽しみに変わる。

こうした変化をそばで見させていただく中で、
服が変わるだけでなく、日常の選択にも少しずつ変化が広がっていくことを感じています。

それはきっと、
“自分で選ぶ力”が育っていく過程なのだと思います。


点字毎日への掲載

今回の登壇内容は、点字毎日にも掲載していただきました。

長い歴史のある点字毎日に、このような形で取り上げていただけたことを、とてもありがたく感じています。

同時に、身の引き締まる思いもあり、これからも一つひとつ丁寧に取り組んでいきたいと感じています。


今後に向けて

今後は、個別のサポートに加えて、

・ファッションを学ぶ機会をつくること
・企業や店舗の理解を広げていくこと
・より多くの方が関われる環境を整えていくこと

にも取り組んでいきたいと考えています。

見える・見えないに関わらず、誰もが自分で服を選べるようになることで、装いを楽しむ権利を取り戻すための活動に力を入れていきます。

そのために、これからもできることを一つずつ重ねていきたいと思います。

今回お話しした内容については、現在、講座としてお伝えできるよう少しずつ準備を進めています。


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